木原滋文の島人コラム Vol.31

 

日日是好日 (4) 「角を矯めて・・・。」

鳩山内閣は、ニ酸化炭素削減目標を25%とかなり高い数値を数値を世界に向かって宣言した。
産業界からブーイングが出るのは予想されたことだが、高い目標値は評価するにしても、その具現化の方法は慎重であってほしい。

経済産業相が原発推進を呼びかけたのも問題だが、環境相が同様の姿勢を示したのには驚いた。
原発そのものが、チェルノブイリやスリーマイル島の事故を例に挙げるまでもなく、危険そのものであることは今も変わってないはずである。
さらにその廃棄物の最終処分法も未だ絶対的なもの確立されていない。
「失敗は成功の母」という諺はあるが、もし失敗すれば、あまりにも犠牲が大きすぎる。
小さな犠牲でも人的犠牲は絶対許されるべきものではないが、いくら閣内の見解の不一致を避けるにしても、環境相は環境の保全・保護に努め、それを阻害するものをチェックする立場にあるのではないか。

ヨーロッパでも最近風向きが変わっている。
一時は脱原発の方向に進んでいたのに、復活に舵を切り始めた。
これも地球温暖化防止もひとつの口実だが、経済成長の低迷打破には背に腹は替えられないというのが本音のようだ。
いくら景気がよくなっても、地球という星に生物が生きられなくなったら、元も子もなくなってしまうというのに。

責任を経済にだけ押し付けるのではなく、目先の利益だけを追い求めようとする人間の生き方や、先進国といわれる国の人々の、便利さに首までどっぷり浸っている生活様式そのものを、今こそ今こそ振り返ってみる時期に来ているのではないか。
このままでは、「角を矯めて牛を殺す」ことにもなりかねない。
これが杞憂に過ぎなければ幸いである。

●このページのトップへ↑

ホーム > 木原滋文の島人コラムINDEX > 島人コラム Vol.31