木原滋文の島人コラム Vol.36

 

日日是好日 (9) 「ささやかな贅沢」

このところ、私の日課は風呂焚きです。
薪で沸かした風呂は、直接お湯の出てくるガス、電気、灯油などで沸かしたものと違い、いかにも下から温もりが沸き上がってくる感じがします。
いや、感じではなく、そのものずばりです。
それを毎日味わっています。
寒い日は、朝から焚き付け、おきができたら、火鉢に移してやかんをかけます。
また、消し炭をつくり、本物の炭をまぜると、比較的長持ちします。
ここ2年ばかり、灯油の値上がりを契機にストーブを使っておらず、エアコンで部屋を暖めていますが、部屋が乾燥するので、やかんの湯気は大切です。
その分、薪がたくさんいります。
冬場は、夏の3倍近くいります。
釜の冷えるのが早いせいかもしれません。

薪の準備も、今の私には大きな仕事です。
幸い、家の回りには、結構木がたくさんあるし、私が生きている間は、先ず大丈夫でしょう。
冬用の薪は、前の年の夏から秋に準備します。
木を切り倒したら、大きな幹から小指の先ほどの枝まで、無駄にはしません。
もったいないというよりも、その木の役割を十分果たしてやりたいという気持ちがはたらくからです。
もっとも、枯れ葉は、その地の肥料となり、次の木を育てる役目もするのですが。

この仕事をすることで大切なことがまだあります。
それは、適当な運動になることです。
運動量の面では、定年前よりも増えているのではないでしょうか。
全身運動では、水泳が最適と言われますが、それに近いのではないかと思っています。
チェーンソウを使って木を切るのですが、素人の私は、先ず怪我をしないように気を使います。
倒した後は、枝を切り落とします。
ある程度の大きさのところからは、手引きの鋸を使います。
よき(斧)で割ります。
またそれらを運んで積み重ねます。
これらの作業は、まさに全身運動です。
そんなことは、それぞれのプロにとっては、当たり前のことかもしれませんが、私にとってはウオーキングなどよりもいい運動になっています。
歩数計で計ったことはありませんが、歩くだけでもかなりの数字になっていると思っています。
ただし、畑の草取りなどで、腰をかがめて仕事は長くしないこと。
要するに、同じ姿勢は、一部に大きな負担になるようです。
昨年、足腰を痛めたのは、そのせいだと思っています。

話が大分横にそれましたが、毎日沸かし湯に入るという、私のささやかな贅沢は、一挙両得ならぬ、三徳四徳にもなっていると密かにニヤリとしているところです。

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