木原滋文の島人コラム Vol.37

 

日日是好日 (10) 「三寒四温」のこと

思い込みは怖いものです。
「三寒四温」は、春を目の前にした、2月末から3月初め(屋久島では)の頃の気候だと思っていました。
卒業式の送辞、答辞の指導をはじめ、手紙等の挨拶にも、平気で使っていました。

ところが、元鹿児島気象台の台長であり、NHKのお天気キャスターの倉嶋厚さんの『季節の366日話題事典』を読んでいて、誤っていたことが分かりました。
以下の部分を引用させていただきます。
12月26日「冷たい肺」と題して次のように書いています。
「シベリア高気圧は、アジアの冷たい肺です。北極圏方面からの寒気団を吸い込むと大きく膨れ、中心気圧は1050〜1080ヘクトパスカルにもなります。そして日本付近を低気圧が発達しながら北東に進むと、その西側で冷たい空気を南東に向けてどっと吹きつけます。これがシベリア風、冬の季節風です。『季節風の吹き出し』が終わると、シベリア高気圧は弱まり、次の北極気団を吸い込んでまた膨れます。その一呼吸が三寒四温。しかし真冬には、北極気団を絶え間なく吸い込んでは吹き出して異常寒波を起こします」。

なるほどそういうことかと、一応納得はするものの、この「三寒四温」という言葉の響きというか、字面というか、そういう気象用語とは違ったイメージを与えてくれるというのは私の独りよがりでしょうか。
水前寺清子の歌の「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる」という歌詞とつながるものがあるように思えるのですが。

この閉塞状況の時代、せめて言葉のイメージだけでも、明るい方向に気持ちを持っていきたいものです。
そういえば倉嶋さんの著書に「やまない雨はない」という、奥さんを亡くされた時のご自身の体験を綴ったものがありました。
その後でしたが、屋久島高校で、彼の講演を聴く機会がありました。

ちなみに『季節の366日話題事典』は私の座右の書の一冊です。

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