兵頭昌明の四方談義 Vol.14

 

地材地建

最近、木材業界、建築業界では「地産地消」を「地材地建」と呼び替えて盛んに宣伝している。鹿児島県でも、県内産木材の需要拡大を目的に「認証」制度をはじめた。

屋久島でも雀の涙程度ではあるが、助成制度をつくり、島内産木材の需要拡大を図ろうとしている。これらの試みは、どれほどの効果を上げているのだろうか。甚だ心もとない。

そもそも建材として、木材、それも地元の木材を使うことの意義を考えた結果の施策だとすれば、もっと違うやり方があるはずである。まず、建築物の側から考えれば、温度や湿度の変わらない建てる場所で育った木を使うのが理想的である。

加工する側からいえば、選択肢の少ない中での材の加工は難しい。

次にお金の問題である。輸送コストが低いとはいえ、限られた小さな市場では、素材生産から加工まで合理化の進んだ大きな市場には太刀打ちできない。

では、どのような方法が考えられるのか。

林業から経済政策、伝統文化までを含めて、総合的に考えるべきである。

地元の人が育てた木を

地元の人が伐採、造材、搬出し

地元の人が製材し

地元に伝わる技術で加工、建築する

解決しなかればならない問題は、

造材技術者の不在。これによって素材の値打ちが左右されます。

大量伐採ではないため、規格材がそろわない。「木には一本として同じものはない。不揃いな材を組むことを木組みというのだ」といった棟梁がいました。
「木の節は枝だ。枝のない木は弱い」
「一寸の板は十枚重ねても一寸の力、一尺材には及ばない」

先達の言葉には、まだまだたくさん学ぶべきことがあります。

林業振興、伝統技術文化の継承、地域経済の活性化を本気で考えるならば、行政経費で造る建築物は、少々割高でも、地元材を使うべきです。時間の単位をのばしてみれば、割安になること請け合いです。

(2005.4.20発行のレポート7より、加筆転載)

 

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