屋久島観光論 (その1)
観光を産業にするためにはどうしたらいいのか? 「縁側観光」、「減圧室の必要性」など、これまでに様々な提案をしてきました。しかし、そんな悠長なことをいっていられないほど、事態は進んでいます。
屋久島の観光資源が「自然環境」であるかぎり、いま最優先されるべき「量」の問題を考えざるを得ない状況に至っているのです。一刻の猶予もありません。
この島は「ヒト二万、サル二万、シカ二万」といわれてきました。生活様式は大きく変化しているので、一概にはいえませんが、この2万という数字を仮に島の定員としてみましょう。現在の島の人口はおよそ1万4000、島民以外の滞在可能人数6000人となります。
こういった計算は島外の研究者や企業が、やり尽くしているとは思いますが、島外からの提案を待つのではなく、島内から積極的に声を上げていくべきだと考えます。
現在、屋久島観光協会に登録している宿泊施設の定員の合計がおよそ3000、非会員の施設やキャンプ場、山小屋の定員を合わせても新規参入の猶予はもう少しありそうです。交通機関に関しては、屋久島空港を拡張するのではなく、今年3月にお隣、種子島に開港したジェット機に対応可能な新種子島空港と海路を組み合わせたルートの利用が現実的ではないでしょうか。
さて、ここまで書いてきましたが、「観光客をどんどん増やしましょう」という提案ではありません。この6000という数字、あくまでも標高の低い生活圏の滞在可能人数であって、非生活圏にはそれぞれの定員があるのです。それについて次回書いていきます。
(2006.6.24発行のレポート25より、加筆転載)
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