兵頭昌明の四方談義 Vol.21

 

ゴミをまたいで

やたら派手な看板が立ててあると思って近づくと、ゴミ捨て禁止の看板でした。
景観よりも何よりもということなんでしょうが、もう少し配慮できないものでしょうか。
おそるおそる捨てる奴、平気で堂々と捨てる奴と捨てる奴も様々。
良心に訴える効果を期待するなら、それなりの方法があるはずで、看板そのものが景観を乱しているようにすら感じます。

一湊矢筈岬の中ん窪の西側に縄梯子をかけて、ゴミの写真を撮っていると、頭上から若い女性の声が聞こえてきました。
「わー、きれいー」
彼女たちの目線の先には、遠くの海岸線しかないのですから無理もありません。


(一湊の中ん窪の様子 Photo by 兵頭昌明)


(一湊の中ん窪の様子 Photo by 兵頭昌明)

屋久島の西側の入り江には、膨大な量のゴミが堆積しているのですが、幸か不幸か、海岸の植生がこれを覆い隠し、普段目に触れることはありません。
改めてこれを写真に収めておこうと思い立ち、歩き回っていると、さらに皮肉な場面に行き当たりました。
水面には多くのダイバー、磯に散らばる多くのゴミ、そのすぐ奥にはダイビング業者とおぼしき大きなマイクロバスが数台。
シーカヤックを載せたものもあります。


(一湊海水浴場奥の様子 Photo by 兵頭昌明)

これが屋久島の観光の現実でしょうか。

ダイバーが増えたことでゴミが増えたとはいいません。
年に1度「屋久島海祭り」と称して、業者を中心に清掃も行なわれています。
しかしひと月もすれば、様相は元通り。
せめて自分たちが使う海岸くらい、その都度、ゴミを拾っても罰はあたらないのではないか。
そんな風に考えるのは私だけでしょうか。

(2006.10.3発行のレポート29より、加筆訂正)

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