兵頭昌明の四方談義 Vol.3

 

五感を磨こう!

「ピンときた!」
「第六感をはたらかせる」
   ・・・・・などという言葉は、
日常茶飯に使われますが、
さて、私の第六感は十分にはたらいてピンとくる状態か
・・・と自問してみれば、
なんとも心もとないかぎりです。

第六感を正常にはたらかせるためには、
五感までが鍛えられていなければなりません。
今の日本、特に都市部で刺激にさらされてくらす人々にとって、
日々五感をフルにはたらかせていたら、
とてもまともに生きていられる環境ではないのかもしれません。

かって、全盲の知人が屋久島を訪ねてくれたおり、
ぶしつけを承知で
「目の見えないあなたにとって、
   屋久島はどんなところなのでしょうか?」
   ・・・・と尋ねました。

「香り、音をはじめ、それらを感じとる能力は
  兵頭さんより私の方が鍛えられています。
   自然のすばらしさと奥深さに感動しています」
   ・・・・と切り返されました。

すべての感覚は理屈ではなく、
体験によってしか自分のものにすることはできません。
屋久島にたびたび足を運ばれる
CGアーティストの河口洋一郎氏も
「バーチャル(仮想)はリアル(現実)の上に成り立っている」
   ・・・・と話していました。

五感を鍛え、磨く場としての屋久島。
そのように考えるとき、一気に目の前が明るく開けてきます。

そのような場としてみたとき、
屋久島は納得できないことだらけです。
トイレ問題を解決するため、登山道の整備のため、と称する
「入山料」を徴収しようなどという発想などは
その最たるものといわざるを得ません。
金さえ払えば......、金さえ稼げば......、
過剰利用がどのような結果を招来するかは明白です。

入り込み人数を規制することを一義的に、
質の向上を目指す「入山料」であるべきで、
まちがっても「物乞い」に堕してはなりません。

進むべき路を見誤らないよう、今こそ五感を磨きましょう。

(2005.11.7発行のレポートより加筆訂正)

 

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