兵頭昌明の四方談義 Vol.4

 

行政の出前

上屋久町役場前に
定期バスが停まるようになった経緯をご存知ですか?

上屋久町役場は、宮之浦川沿いの県道から
数百メートル奥まったところにあります。

屋久町との平成の合併問題が持ち上がる前、
庁舎の新築移転が検討されたときのことでした。

「庁舎の老朽化と狭さの解消」、
「機能の集中を図る」、
そしてなにより
「県道沿いに移転することで宮之浦以外の住民に便利になる」
・・・という狙いからです。

移転候補には、
これまでの役場からさほど離れていない
県道沿いの自動車教習所跡地。
「県道を通る定期バスで役場に向かうためには、
  役場が県道沿いにあった方が便利だ」
・・・というのが、行政の主張です。

移転計画は諸々の理由で立ち消えましたが、
これを機にこれまでのルートを迂回して、
役場前にも定期バスが停まるようになり、
不便さの主張と理屈は解消されました。

つぎはぎ状に増殖した庁舎の動線や組織を
改めて見直すことで、
その他の問題にも対処できるはずです。

少し発想を転換すれば、
対処方法はいくつもみつかるのです。

そもそも、現在、
宮之浦と口之永良部に限定される役場の窓口を、
町内の各集落に開設すれば、
より住民にとって便利になります。

「行政の出前」です。

近所の公民館や郵便局に簡単な役場の機能があれば、
自動車の運転免許をもたない高齢者などにとって、
どんなにか便利でしょう。

あらゆる観点から多くの検証が必要なことは承知します。

まずは考えてみましょう。

暮らしよい島にするため、
みんなで議論を重ね、
できることを具体的に積み重ねていくことが、
この島を名実ともにひとつにしていく近道だと思っています。

(2005.10.8発行のレポートより加筆訂正)

 

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