木原滋文の島人コラム Vol.1

 

鹿の害に思う

我が家の孟宗竹山の竹の子が、ことごとく鹿に食われてしまった。
十センチほどに伸びた新芽を食われてはおしまいである。
しかも鹿は夜行性なので夜のうちにやられてしまう。
「雨後の竹の子」という言葉があるが、次々に生えてくるものを片っ端から食い荒らしてしまう。
竹が絶えてしまうのではと、気掛かりなところである。


今、屋久島では、猿とともに鹿が害獣になっている(そのうち狸も加えられるだろう)。
専業農家はもちろん小さな家庭菜園までもが、その対策に頭を痛めている。
上屋久・屋久両町では定期的に害獣駆除を行っているが、一時しのぎにしかならないのが現状だ。


そもそも、本来は山に棲んでいるはずの鹿や猿が、なぜ里に下りてきたのか。
話は簡単、人間が彼らの領分を侵し過ぎたからである。
さらに、山よりも里のほうが食べ物は美味であり、手に入れやすいことを知った二代目、三代目は、もう山のことなど覚えているはずはないだろう。


野犬がいなくなったことを理由に挙げる人もいる。
かつて犬は放し飼いであり、野犬も多かった。
犬たちは、たまに里に下りてくる鹿や猿たちを山に追い返す役目を果たしていた。
時々、鶏が襲われることはあっても、人が噛みつかれた話はあまり聞いたことはなかった。
それが飼い犬はつながれ、野犬もいなくなれば、彼等の天下になることは納得できなくもない。


それにしても、この鹿や猿の害はなんとかならないものか。
島に住んでいる人間にとっては、動物との共生などと美しい言葉だけでは済まされない。

 

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