ニュース&コラム (2005年12月分)

 

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ニュース&コラム INDEX (2005年12月分)

●永田のおじさんから見た
       「ラムサール条約登録」 (12/1)

●里山も雪化粧。この冬一番の寒波襲来!
 〜屋久島の寒さとは?[その2]〜 (12/5)

●ポンカン収穫最盛期!〜農家のジレンマ〜 (12/9)

●みなさん!議会を傍聴しましょう!
 上屋久町・屋久町ふたつの議会の違い
  〜雰囲気編〜 (12/14)

●インスタント食品考 (12/19)

●クリスマス・イブに想う事 (12/24)

●今年一年を振り返って (12/28)

 

今月のニュース&コラム

●永田のおじさんから見た
       「ラムサール条約登録」 (12/1)

先月11月8日、
第9回ラムサール条約締約国会議(ウガンダにて開催)において
屋久島永田浜が同条約の登録湿地に決定しました。
そして11月26日には永田集落で記念式典も行なわれました。

新聞報道によると、
「世界自然遺産地域に次ぐ観光名所の誕生。」
・・・とあります。

この間、とある永田集落のおじさんが、
永田の浜のことを語ってくれました。

「昔は夏になると同級生が集まって
 浜でたき火をしながら
 夜中まで語りおうた(合った)もんじゃ。
 亀もすぐ横を通り過ぎていきよった。
 最近じゃあ、夏に浜へ行こうとしても
 自由に入ることもできん。
 『永田んし(の人)の浜』じゃのーて、
 『亀ん(の)浜』になってしもた(しまった)。
 ラムサールかなんか知らんけど
 またよーさん(沢山)人が来るようになるだけで
 なーんもよかことはなか。
 儲かるのは観光業者だけじゃ・・・」

・・・・みなさんはこの話をどのように受け取りますか?

「世界遺産」にしても「ラムサール」にしても
永田に暮らす普通のおじさんにとっては
どうでもいいことなのです。
それよりもなによりも、
「永田の浜が永田の人の浜でなくなることが寂しいのです。」

先日も書きましたが、ここ数年でかなり山が荒れました。
このまま何もしなければ今度は浜も荒れるでしょう。
「世界遺産」にしても「ラムサール」にしても
本当に喜ばしいことなのでしょうか?
「屋久島の観光のありよう」を
「屋久島の暮らしのありよう」を
真剣に語り合わなければならない時期に来ていると思います。

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●里山も雪化粧。この冬一番の寒波襲来!
 〜屋久島の寒さとは?[その2]〜 (12/5)

この冬一番の寒波がやってきました。
里山もほんのり雪化粧です。
また波も高く、鹿児島からのフェリーは二日続けて欠航です。
いよいよ屋久島も冬らしくなってきました。

さて、先月は「屋久島の寒さ」を
「感覚論」から書いてみましたが、
今回は屋久島の「地理的特性」から起こる
寒さに関するおもしろいお話をひとつ。

ある年のお正月。
とある永田[屋久島の北西部]集落の青年が
彼女のいる尾之間(おのあいだ)[屋久島の南部]集落へ
車で出かけようとしていました。

永田は曇天で風も強く、非常に寒かったので、
青年はセーターを着てジャンバーを羽織っていきました。

車で西部林道を抜け、
栗生(くりお)[屋久島の南西部]に着くと
だんだん風もおさまってきました。

「もう少しで彼女に会える・・・」
青年はワクワクしながら車を走らせました。
天気もどんどん良くなってきました。

そしてようやく尾之間の彼女の家に到着!

その時、青年はある光景をみてビックリしました。

なんと彼女が・・・・
 「Tシャツ姿で車を洗っていた!」

       ・・・・・というお話です。

みなさんもご存じの通り、
屋久島の山岳部には
九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)をはじめ
1,800m以上の高峰が連なっています。

このため、島の北側と南側、或いは東側と西側では
まったく天気が違うということがしばしばあります。
もっと極端にいうと隣の集落、或いは集落の中でも
天気が違うということもあります。

テレビでは、
「種子島・屋久島地方」或いは
もう少し細かく「上屋久町」ぐらいの範囲で
天気予報が放送されますが、
100%完璧に当たることはめったにありません。

屋久島の中でもその日その日、
その時、その時、場所、場所によって
「天気」が「寒さ」が違うのです。

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●ポンカン収穫最盛期!〜農家のジレンマ〜 (12/9)

先週からいよいよポンカン収穫の最盛期に入りました。
収穫されたポンカンはお歳暮用の商品となります。

ポンカンの取り引き価格は12月と1月とでは大違いだそうです。
ですから各集落のポンカン農家は
12月中旬までが勝負というわけです。

一方、近年の地球温暖化の影響でしょうか?
ポンカンの色着き(熟れ具合)は、年々遅くなっているようです。
今日現在、ポンカン畑も完熟満開とは言えない状況です。

ある農家の方がこう言っておられました。
「本当は正月過ぎの完熟ポンカンの方がおいしいんじゃが、
 正月を過ぎたら商売にならん!
 なんとも空しいもんよ・・・・・。」

美味しいものを最高の状態で提供したい生産者の想いと
世の中の慣例を中心に動く流通・小売り業者との想いは、
中々マッチしません。

このジレンマはいつまで続くのでしょうか?

「本物志向」と言われる消費行動のキーワードがあります。
このキーワードが単に言葉遊びのキーワードではなく、
本当のキーワードになって行けば、
このジレンマも徐々に解決するでしょう。

「本物志向」が「ホンモノ」になる・・・・。
そのために屋久島タイムスも頑張ってまいります。

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●みなさん!議会を傍聴しましょう!
 上屋久町・屋久町ふたつの議会の違い
  〜雰囲気編〜 (12/14)

12日から屋久町、13日から上屋久町、
屋久島両町の定例議会が始まりました。

私は13日午前中は屋久町の一般質問、
午後からは上屋久町の合併問題調査特別委員会を
傍聴してきました。
屋久町議会の傍聴は、私にとって初めての経験です。
ちなみに屋久町議会の一般質問の傍聴人は4名。
上屋久町の委員会の傍聴人は私ひとり(1名)でした。

マスコミにおける議会の記事は「議案と結果」が中心ですが、
今回、屋久島タイムスでは、
「両町の議会の雰囲気の違い」についてレポートしてみます。

●議場(施設・設備)について・・・
屋久町役場の3階にある屋久町の議場は、
上屋久町の議場と比べると築年数が新しいため、
様々な設備が充実しています。
傍聴席は映画館のシートのようになっていますし、
マイクは議員・役場職員それぞれに一本ずつ設置されています。
マイクの感度も良く、議論がよく聞こえます。
まあ、これは
議員それぞれの声の大きさによるのかもしれませんが・・・
一方、上屋久町の議場はかなり年期が入っています。
年期といっても風格がある造りではなく、
議員の机は合板が使われています。
マイクの本数も議員・役場職員とも二人で一本です。
上屋久町民の私からみると議場の施設・設備自体は
屋久町の方が充実しているように感じました。

●議会進行について・・・
上屋久町では、議長の掛け声によって議会が進行しますが、
屋久町ではその前に「チリリリリ〜ン」とベルを鳴らします。
ちょっとした事ですが議会進行に緊張感を感じました。
また、上屋久町では議員の名前を呼んで議事進行されますが、
屋久町では議席番号を基本に議事が進行されます。
「○番議員△△△△君」
「○番議員のご質問ですが・・・」
これもちょっとした違いです。
ちなみに4番議員の席がありませんでした。
1.2.3.5.6・・・4が抜けています。
なんか意味があるのでしょうか???

●休憩について・・・
議会の進行が長引くと休憩があります。
上屋久町では
議員控室が傍聴席側と逆方向にあるため、
議場に残っている議員さん以外の様子は見えません。
屋久町では
廊下にセルフサービスのお茶と茶菓子が用意されており、
町長も職員も議員も傍聴人も一緒に休憩します。
このシステムがいいのかどうかは別として
おもしろいなぁ〜と感じました。

●一番びっくりしたこと・・・
唐突ですが・・・
屋久町の議場は「普通」。
上屋久町の議場は「あつかった」。
これは、議論の度合いではなく「室温」のことです。
上屋久町さん!上屋久町の議員さん!
財政状況厳しき折り、暖房ぐらい節約すれば・・・。
頭がボ〜っとするくらい暖かくしなくてもいいと思います。
「室温は普通!」で「議論は熱く!」を望みます。

●最後に一言・・・
とある議員経験者の方がこんなことを言っておられました。
「傍聴人がいないと議会の雰囲気が馴れ合いになってしまう。
  傍聴人がいると議員にも当局にも緊張感が生まれる。
   だから傍聴人がいた方が絶対いい。」


・・・みなさん!時間があれば議会を傍聴しましょう!・・・
     屋久島タイムスからのメッセージでした。

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●インスタント食品考 (12/19)

先週から寒い日が続いています。
平年なら1〜2日で消える里山の雪も今年は融けません。

風邪も流行っているようで
屋久島高校でも生徒がかなり休んでいるようです。
(*我が家の息子も休んでいます。)
インフルエンザではないようです。

こんな時は「暖かい食べ物」がたまりませんよね。
湯豆腐、よせ鍋、シチューにおでん、肉まん、あんまん、
ホットココアにポタージュスープ ~etc~
体の中が温まるとホッとします。

ところで、今朝テレビを見ていたら
インスタントのシチューを紹介していました。

最近のインスタント食品はかなり贅沢になっているようです。
具の入ったカップにお湯を入れ、
はじめに30秒ほどかき混ぜ、あとは3分待つだけ・・・。
ブロッコリーをはじめ、ジャガイモやにんじん・・・
おまけにアサリまで入っています。
レストランも顔負けの味らしいです。

ふと考えました・・・。
「インスタント食品と言えば何を思い浮かべるだろう???」

私の年代(40代)以上の人が先ず最初に思い浮かべるのは、
「ラーメン」だと思います。
「チキンラーメン」を筆頭に「サッポロ一番みそラーメン」
「エースコックのワンタンメン」「カップヌードル」 ~etc~
その次が「コーヒー」でしょうか?
子供の頃は「ネスカフェ」が本物のコーヒーだと思っていました。

・・・インスタント?インスタント?インスタント?・・・

インスタントの言葉の意味は、
「すぐにできること、手間のかからないこと。」です。

確かに忙しい時や屋外で食べる「インスタント食品」は
おいしいですし便利です。
でも「インスタント食品は所詮インスタント食品よ!」
・・・・・私はそう思っていました。

ところが・・・時代は変わったようです。

包丁やまな板が無くても、お鍋が無くても、お玉が無くても、
お湯さえ注げば料理は完成! 味はレストランも顔負け!

・・・いいことです。大変いいことです。

・・・でも???このままいけば・・・
「料理」とは「お湯をかけること」になってしまうのでは??

「インスタント食品」はあくまでも
「インスタント食品」であって欲しいと思う今日この頃です。

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●クリスマス・イブに想う事 (12/24)

12月24日、今日はクリスマス・イブです。

でも、あまりワクワクしません。

こどもの頃はサンタさんからのプレゼントを期待し、
学生時代は彼女がいなくても
男だけのクリスマス闇鍋(やみなべ)で盛り上がり、
彼女が出来れば一ヶ月以上も前から
クリスマスのプランを考える・・・。

若い頃はクリスマスシーズンが来ると
何となくワクワク気分だったのを思い出します。

非常に個人的な分析ですが
そんなワクワク気分のクリスマスムードを
かき立てる要素のひとつに
「クリスマスソング」があると思います。
街を歩けば
どこからとも無く聞こえてくるクリスマスソング!
♪ジングルベル、♪サンタが街にやって来る
♪きよしこの夜、♪クリスマスイブ 〜etc〜
私自身も知らず知らずのうちにクリスマスソングを
口ずさみながら歩いていたのを覚えています。

そしてもうひとつの要素が「数多くのカップル達」です。
都会では、学生さんや社会人も含め、
たくさんのカップルが街中にいました。
バッチリとラッピングされたプレゼントを抱え、
おしゃれに決めた服をショーウインドウでチェックする人!
ちょっと小走りに待ち合わせ場所へ急ぐ人・・・!
腕時計をチラチラ見ながら待っている人・・・!
みんなそれぞれがそれぞれのドラマの主人公なのです。
そんな光景があたりまえのように溢れていました。

さて、屋久島のクリスマスはどうでしょう?

まず「クリスマスソング」は街には溢れていません。
・・・というか不特定多数の人が集まる場所が
スーパーマーケットぐらいしかないからです。

では「カップル」は・・・?
これまたほとんど街中では見かけません。
まぁ、たまたま私の目に入らないだけで、
若者は若者同士で楽しんでいると思うのですが・・・。
しかし若者の絶対数が少ないのは事実です。
だからほとんど見かけないともいえます。

ところ変わればクリスマスムードも変わります。

でも本当にワクワクするのは、やっぱり
「大好きな人と過ごす」
・・・・・・・・・・・ということでしょう。

ところで・・・クリスマスってなんでしたっけ?

クリスマスとはイエス・キリストが
約2000年前にこの世に生まれたことを
お祝いする日です。
ちなみに、12月24日はクリスマス・イブですが、
イブ(Eve)とは「前夜」という意味です。

あれぇ〜?
何で日本でクリスマスが盛り上がるのでしょう?
「そんなことど〜でもいいじゃない!」
「楽しいからいいじゃない!」
・・・そんなお叱りもあるかと思いますが、
時には、「なんでクリスマスで盛り上がるのか?」を
真剣に考えてもいいのではないでしょうか?

・・・わたしたちは日本人なのだから・・・

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●今年一年を振り返って (12/28)

いよいよ年の瀬です。
屋久島も今年一年色々なことがありました。

今年は屋久島の話題が
例年にも増して
新聞の一面やテレビで取り上げられました。

○屋久町と上屋久町の合併問題
○上屋久町議会の混乱(リコール・住民投票など)
○縄文杉が傷つけられる
○高速船ロケットの就航
○目まぐるしく変わったフェリー運航
○永田浜ラムサール条約登録

 〜などなど〜・・・・です。

なんか恥ずかしいような悲しいような・・・
最近の流行り言葉でいうと「ビミョ〜」な一年でした。

「?なんでだろ〜?」(*ちょっと古い流行り言葉です。)

・・・きっとすべての話題の記事やレポートが、
「島外の記者」によって表現されているからだと思います。
・・・「どっかずれている」ように感じたのです。

よく、マスコミの報道は「客観的」であるといわれます。
この「客観的」という言葉は「あたりまえ」と同様に
何となく「納得してしまう言葉」です。
「客観的に見ると・・・云々かんぬん・・・」といえば、
いかにも説得力があるような・・・・・・
でもよ〜く考えてみると「客観的」は単なる枕詞で、
その後に続く内容は主観的であることも多々あります。

島外の記者が島外の価値観で屋久島の出来事を表現する。
それはそれで意味のある事ですが、
価値観はそれだけではありません。
情報を受け取る側にも価値観は存在します。
情報を受け取るのは簡単ですが、
情報を発信するのは結構大変なことです。

「屋久島タイムス(Web新聞)」をはじめて4ヶ月。
私は文章で表現する事の難しさを実感しています。
この4ヶ月、屋久島タイムスは
私個人の「情報発信」が大半でした。

来年はより多くの方々に、屋久島タイムスの目指す
「屋久島のあたりまえを紡ぐ」作業に
ご参加いただきたいと考えています。

本当に今年一年ありがとうございました。

屋久島タイムス編集長:

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