兵頭昌明の四方談義 Vol.9

 

畑を耕してこそ百姓

いよいよ観光シーズンに入りました。
海に山に川に人があふれ、島は接客に大忙しになります。

気になることは山ほどありますが、
なかでも違和感を覚えることについて二三。

中央アルプスの山小屋では、
次の山までの登山道の管理は、
それぞれの小屋の責任であり、
そのために費やす年間の経費は
相当な額にのぼるというのを聞いたことがあります。

百姓を誇りにしている人の畑は手入れが行き届いている。
林業を生業にしている人の山は
除間伐、枝打ち、下払いが完璧で、
腕のいい漁師は不用意に海にゴミを投げ捨てない。

屋久島で観光を生業とする人にとっての自然環境は、
農業者にとっての田畑であり、
林業者にとっての山であり、
漁業者にとっての海であるはずだと思うのですが、
どうもそのように理解されていないような気がします。

かつて「木を眺めて飯が食えるか」という人に、
「しばらく我慢してくれ。必ず飯が食える」
       ・・・と訴えてきたひとりとして、
改めて声を大にしていいたい。

「飯の種を大事にしようよ!」

ボランティアなどという柔な言葉ではなく、
飯の種を絶やさないために、
自前の金と時間を思い切って使うときがきていると思います。

行政に頼るのではなく、
観光を生業としている企業、団体、個人こそが
先頭に立って走りださないと、
金の卵を産む鶏は死んでしまう。

いつまでも魅力的な島であるために、
今できることを今やろう。

(2005.8.18発行のレポートより加筆訂正)

 

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